コーヒー豆の焙煎とは?初心者でもおいしく作れる自家焙煎のコツを解説
コーヒー豆を自分で焙煎をしてみたいけど、やり方がわからない人は多いです。焙煎はコーヒーの風味や香りを引き出すための重要な工程です。焙煎の仕組みを知らずに、適当に焙煎をしてしまうと、コーヒー豆本来の味になりません。
この記事ではコーヒー豆の焙煎の仕組みと、適切な焙煎方法について解説します。この記事を読めば、家庭で自分好みのコーヒーを作れるようになります。
焙煎とは生豆を煎る工程
コーヒー豆の焙煎とは、コーヒーの生豆を専用の機械で加熱して、風味や味を変化させる工程のことです。焙煎の程度によって、コーヒーの香りや味わいが変化します。
同じ銘柄のコーヒー豆でも、焙煎のやり方によって味が異なります。コーヒーのおいしさは、焙煎の仕方で決まるからです。おいしいコーヒーを作るポイントは、生豆を加熱する温度と時間を適切に管理することです。
コーヒー豆の焙煎には、一般的に専用の機械が使われますが、フライパンでも代用はできます。ただし、コーヒー豆を均等に加熱できる点で、専用の機械を使うのがおすすめです。
焙煎中に起こる化学変化
コーヒー豆を加熱すると、さまざまな化学変化が起こります。化学変化を起こすことで、コーヒーの苦味や香りを最大限まで引き出します。焙煎中に起こる化学変化は、以下の3つです。
- メイラード反応
- カラメル化
- 化合物の分解
メイラード反応
メイラード反応とは、生豆に熱を加えた際にタンパク質(アミノ酸)と糖(ショ糖)が反応し、香ばしい苦味や香りを引き出す化学反応のことです。メイラード反応の時間をコントロールして、コーヒーに適切な苦味と香りを引き出します。
メイラード反応は、簡単にいうと「焦げ」のことです。加熱しすぎると苦味が強くなり、焦げ臭くなってしまいます。逆に加熱が不十分でも香りを十分に引き出せないので、加熱時間のコントロールが重要です。
カラメル化
カラメル化は、コーヒー豆に含まれる糖が加熱されると起こる化学反応です。カラメル化によって、コーヒーに独特の苦味が生まれます。加熱しすぎると、糖が焦げてしまうので注意が必要です。
化合物の分解
生豆に含まれる「クロロゲン酸」が焙煎によって分解されます。クロロゲン酸が分解されることで、コーヒーの酸味が減り、苦みが増します。
コーヒー豆の焙煎度合いの種類と特徴
コーヒー豆は、焙煎する時間によってコーヒーの味や香りの調整が可能です。焙煎度合いの違いを理解すれば、自分好みのコーヒーが作れます。焙煎度合いの主な種類は以下の3つです。
- 浅煎り(ライトロースト)
- 中煎り(ミディアムロースト)
- 深煎り(ダークロースト)
浅煎り(ライトロースト)の特徴
浅煎りは焙煎時間が短いので、コーヒー豆本来のフルーティーさを感じます。主な特徴は以下のとおりです。
- 焙煎時間が短い
- 苦味が少ない
- フルーティーな酸味が出やすい
- 淡い茶色で豆表面の光沢は少ない
焙煎時に、第1クラックと呼ばれるパチパチとした音が聞こえたら焙煎を終了します。焙煎時間が短いので、カフェイン含有量は高めです。朝の勉強や仕事前に飲むと、集中力を高める効果が期待できます。
中煎り(ミディアムロースト)の特徴
中煎りとは、浅煎りと深煎りの間くらいの焙煎度合いです。苦味と酸味のバランスが取れた味わいがあります。中煎りの主な特徴は以下のとおりです。
- 濃い茶色をしている
- 浅煎りより焙煎時間が長い
- 苦味と酸味のバランスがちょうどいい
中煎りは、ナッツのような香ばしさがあり、味に深みが出はじめます。アメリカでは、朝食時に好まれるブレックファストコーヒーや、ハウスブレンドにもよく使用されています。適度な甘みも出るので、カフェオレを作る際にも使われることが多いです。
深煎り(ダークロースト)の特徴
深煎りは焙煎時間が最も長く、ビターやスモーキーな風味があります。日本人は深煎りのコーヒーを好む人が多いといわれています。主な特徴は以下のとおりです。
- 黒に近い濃い茶色になる
- コーヒー豆の表面が油分でコーティングされて光沢が出る
- 酸味が少なく深い苦味がある
浅煎りや中煎りのコーヒーと比較すると、苦味が強く香ばしい香りが強調されています。加熱時間が増えるので、カフェイン含有量が少ないです。カカオやスパイスのような風味があり、コーヒーの奥深さを感じる味わいが楽しめます。
» コーヒーの種類
コーヒー豆を自宅で焙煎する方法と注意点
自宅でコーヒー豆を焙煎をしてみたい方は、以下の手順で進めていきましょう。
- 必要な器具を準備する
- 好みの度合いに焙煎する
必要な器具を準備する
自宅での焙煎では、以下の器具を準備する必要があります。
- 焙煎機
- ガスコンロ
- うちわ
- 金属製のざる
- トレー
焙煎はフライパンでも代用できますが、均等に加熱するのが難しく、色むらが起きやすいです。専用の焙煎機を用意すると、コーヒー豆を均等に加熱できるので、焙煎が成功しやすいです。
焙煎時には、煙や臭いが出るので、外でも作業できるガスコンロを用意しておきましょう。金属製のざるとトレーを近くに準備しておくと、焙煎が終わったタイミングで、すぐに冷却できます。
好みの焙煎度合いに調整する
ガスコンロと焙煎機を使って、自分好みの焙煎度合いになるまで加熱します。焙煎は、時間と温度を適切に管理しながら行うと、成功しやすいです。焙煎時には以下のポイントをチェックしましょう。
- コーヒー豆の色
- 匂い
- クラック音
家庭用の焙煎器具を使うときは、製品の指示に従い安全に操作してください。焙煎度合いによって、酸味と苦味のバランスが変わります。さまざまな焙煎度合いを試しながら焙煎をすると、自分好みの味が見つかります。
焙煎後のコーヒー豆は、金属製のざるやトレーに移して、しっかり冷やしましょう。焙煎直後のコーヒー豆は、火傷するほど熱くなっているので、軍手を着用してください。
自宅焙煎の際の注意点
自宅でコーヒー豆を焙煎する際の注意点は以下のとおりです。
- 焙煎時に煙や臭いが出るため換気をしておく
- 器具が高温になるため火傷に注意する
- 焙煎後のコーヒー豆は素早く冷却して味の劣化を防ぐ
- 焙煎した豆の酸化を防ぐため密閉容器に保存する
焙煎にはガスコンロを使うので、火傷をしないように十分注意しましょう。火災のリスクがあるため、燃えやすいものを近くに置かないようにしましょう。
ガスコンロを用意できる方は、煙や臭い対策として、屋外で焙煎をするのもおすすめです。
コーヒー豆の焙煎器具
コーヒー豆の焙煎にはさまざまな方法があり、やり方に応じて焙煎器具を使い分ける必要があります。自分が使いやすい器具を選べば、ストレスなく焙煎可能です。ここでは「家庭用の焙煎器具」と「プロが使う焙煎器具」を紹介します。
家庭用の焙煎器具の種類
家庭用の焙煎器具には、電気で動く全自動式焙煎機や、ガスコンロの火を使う直火式焙煎機などがあります。それぞれ焙煎後の仕上がりに違いがあるので、自分のこだわりに合わせて選択しましょう。家庭用焙煎機は、以下の3つにわけられることが多いです。
- 電気式焙煎機
- 火を使わずに、全自動で焙煎を行うタイプの焙煎機です。焙煎の知識がなくても、安定した味に仕上がるので、手間をかけたくない方に向いています。他の焙煎器具と比べると、価格が高い傾向にあります。
- 直火式焙煎機
- ガスコンロの火を使い、直火でコーヒー豆を加熱するタイプの焙煎機です。コーヒー豆本来の風味や香りにこだわりたい方に適しています。焙煎中の温度管理が難しく、焦げつきやすいので慣れが必要です。
- 回転式焙煎機
- ガスコンロの火と熱風を使い、ドラムを回転させながら加熱するタイプの焙煎機です。直火式と比べて焦げつきにくく、均一に焙煎できます。比較的扱いやすいので、プロにも使われています。
初心者には、簡単に焙煎ができる電気式焙煎機か、扱いやすい回転式焙煎機がおすすめです。価格や自分好みの焙煎スタイルを考えて選びましょう。
プロのバリスタが使う焙煎器具
プロのバリスタが使用する焙煎器具は、高性能で大量のコーヒー豆を均一に焙煎できるように設計されています。コーヒー豆の微妙な変化に対応するには、細かい温度調節や時間管理ができる機能が必須です。プロのバリスタがよく使う焙煎器具を3つ紹介します。
- 業務用ドラムロースター
- 業務用の大型焙煎機で、一度に大量のコーヒー豆を焙煎できます。ドラム内でコーヒー豆を回転させながら加熱するため、均一な焙煎が可能です。焙煎度合いを細かく調整でき、安定した品質のコーヒーを大量に作れます。
- サンプルロースター
- 少量のコーヒー豆を焙煎し、味の品質をテストするための器具です。さまざまな焙煎条件を試しながら、最適な焙煎方法が見つけられます。
- ローストプロファイル
- 焙煎中の温度変化を細かく記録して、再現性の高い焙煎を可能にするツールです。焙煎機にセンサーを取り付け、コーヒー豆の温度や焙煎時間などをリアルタイムで監視できます。
コーヒー豆の焙煎度合いを見極めるコツ
コーヒー豆の焙煎度合いを見極めるには、以下の2つのポイントに注目しましょう。
- 豆の色と表面の質感
- 焙煎音(クラック)
豆の色と表面の質感
火にかけているときの、コーヒー豆の表面の質感を見ておくと、焙煎度合いがわかります。焙煎の時間が増えるほど、コーヒー豆の色は濃くなり、表面に光沢が出やすいです。
焙煎度合い | 見た目の変化 |
浅煎り | 明るい茶色・光沢なし |
中煎り | 深い茶色・わずかな光沢がある |
深煎り | 黒に近いくらい濃い茶色・油分による光沢が現れる |
コーヒー豆の色が均一になるほどおいしいコーヒーに仕上がります。焙煎をするときは、色むらがないように、常にコーヒー豆を動かしながら加熱しましょう。
クラック(焙煎音)
コーヒー豆のクラック(焙煎音)に注目すれば、焙煎度合いがわかります。クラックとは、コーヒー豆を焙煎するときに鳴る、ポップコーンが弾けるような音のことです。クラックには、第1クラックと第2クラックがあります。
- 第1クラック
- コーヒー豆をしばらく焙煎していると、パチパチと音が鳴りはじめます。第1クラックが聞こえたあたりが、浅煎りの目安です。
- 第2クラック
- 第1クラックの後、さらに2〜3分焙煎を続けると、小さく速い音が鳴りはじめます。第2クラックが聞こえてからが深煎りです。コーヒー豆の表面に光沢が見えはじめます。
クラックを注意深く聞いておけば、焙煎度合いを把握可能です。第2クラックの後に焙煎時間を調整すれば、コーヒーの苦みや香りをコントロールできます。自分の好みの焙煎度合いが見つかるまで繰り返しチャレンジしましょう。
コーヒー豆の焙煎に関するよくある質問
コーヒー豆の焙煎について、よくある質問は以下の2つです。
- 生豆の賞味期限は?
- 焙煎後の豆はどれくらい持つ?
生豆の賞味期限は?
生豆の賞味期限は、1〜2年程度とされています。賞味期限を過ぎると、豆の風味が劣化することがあります。
賞味期限内に使い切れる量だけ購入しましょう。賞味期限があるとはいえ、開封後は風味が少しずつ劣化します。湿気や光を避けて、涼しい場所に保管すると、味が長持ちします。
生豆は密封した容器に入れて、空気との接触を最小限にすると風味を保つことが可能です。定期的に生豆の状態を確認し、変色や異臭がないかをチェックしましょう。正しい方法で保存すれば、生豆を最高の状態でキープできます。
» コーヒー豆の種類を解説
焙煎後のコーヒー豆はどれくらい長持ちする?
焙煎後のコーヒーがおいしく飲めるのは、焙煎から2週間〜1ヶ月です。コーヒー豆は焙煎後、徐々に酸化が進み、風味や香りが劣化します。風味を保つためには、コーヒーを淹れる直前に必要な量の豆を挽くのが理想的です。
冷蔵保存はおすすめしません。冷蔵庫内の湿度が高く、コーヒー豆が湿気や他の食品の臭いを吸ってしまうからです。長期保存をする場合は冷凍保存がおすすめです。冷凍後のコーヒー豆は、結露を防ぐために室温に戻してから使用しましょう。
焙煎したてのコーヒー豆はガスを放出しているため、焙煎後の数日間は密閉せずに保管し、ガス抜きをする必要があります。ガス抜き後は、コーヒー豆を空気に触れさせないように、気密容器に移し替えて保管しましょう。
» コーヒーの保存方法と長期保存のポイントを解説!
まとめ
コーヒー豆の焙煎は、コーヒーの風味と香りを引き出すために重要な工程です。焙煎時に重要なポイントは以下の3つです。
- 自分の好みの焙煎度合いを見つける
- コーヒー豆の表面の質感やクラックに注目して焙煎度合いを見極める
- 焙煎後は空気との接触を避けて冷暗所に保管する
自宅での焙煎を行う際は、上記のポイントを意識しながら焙煎をすれば、自分好みの焙煎度合いが見つかります。この記事を参考にして、コーヒー豆の焙煎に挑戦してみましょう。